ファントム:ディーン R.クーンツ | 今日のホラー
クーンツのファントムである。20年か30年ぶりに読んだ。エピソードの細部などに疑問は湧くのだが、やはりおもしろい。クーンツの傑作のひとつである。このころ、クーンツは最高傑作群から翻訳されて日本でも発売されはじめた。
できのいいのから出してるので、とうぜんどれもたいへんにおもしろい。熱狂して読んでいた。ところがその後、傑作以外のが翻訳して出されるようになると、これがあまりよくない。クーンツの欠点として、ホラーやSF系の作家には珍しいやたらと保守的な人生観があるのだが、ジェットコースター式の傑作の時にはおもしろさに隠れて目につかないのだが、平凡な作品になると、やたらと保守性ばかりが目のついていらいらするようになる。
そんな感じでクーンツの評価が下がって最後はアカデミー出版などという出版ゴロから『超訳』で出るようになって、息の根を止められた、というところであろう。
とはいえ、この頃の傑作群はやはりすばらしい。この頃はキングと並ぶものとして評されていた。今となってはずいぶん差がついてしまったが。それで久しぶりに読んでみたら、自分の小説の文体とそっくりなことに気が付いて、のけぞった。そうか、ここから影響を受けていたのか。自分でもまったく知らなかった。
ファントム (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション) 文庫 – 1988/8
ディーン R.クーンツ (著), 大久保 寛 (翻訳)
風光明媚な田舎町に異変が起こった。一夜にして全住民500人が死んだのだ!たまたま町を出ていて助かった二人の姉妹は、生者を捜してゴースト・タウンをさまよった。いったい何がこのような惨事を招来したのか?悪疫、放射能、有毒化学物質、それとも軍事用に開発された細菌兵器か?だが、見つかるのは胸のむかつく異様な死体ばかり。中には首や手を切断されオーブンに入れられた者や何かを恐れてバリケードを築き、拳銃を乱射している者まで発見された…。
レビュー
“A master storyteller…his fast-paced plots are wonderfully fiendish, taking unexpected twists and turns.” —San Diego Union-Tribune
“First-rate…scary and plausible.” —Publishers Weekly
“Gruesome and unrelenting.” —Stephen King
“Koontz has outdone himself. A terrifying story.” —Philadelphia Daily News
登録情報
* 文庫: 351ページ
* 出版社: 早川書房 (1988/08)
* ISBN-10: 4150405069
* ISBN-13: 978-4150405069
* 発売日: 1988/08
* 商品パッケージの寸法: 15.2 x 10.8 x 1.6 cm
スティーブン・キングがレビューを寄せていた、どんな皮肉をまぜた微妙なことを言ってるのかと思ったら、ごく普通のことを言っている。大人だな。
“Gruesome and unrelenting.” —Stephen King
「ぞっとするようで、容赦しない。」--スティーブン・キング
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