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2019年3月16日土曜日

『ウォッチメイカー』ジェフリー・ディーヴァー:今日の読書



『ウォッチメイカー』ジェフリー・ディーヴァー:今日の読書

すごい犯人が出てくる。めずらしく犯人が逃げ延びる。続編を出すつもりがあるようだ。

正直なところ、そこまですごい犯人なのか疑問な点もあるが。いつもの犯人もだいたいすごいのが出てくるので。まあ、書いてて気にいったのだろう。

イメージとしては、アナコンダ映画(どれだか忘れた)に出てくる蛇好きの科学者のロバート・イングランドだな。エルム街の悪夢のフレディ・クルーガーをやった人だが、けっこう演技力があって、変態科学者もうまい。この顔しか思いつかない。

『スリーピング・ドール』ジェフリー・ディーヴァー:今日の読書



『スリーピング・ドール』ジェフリー・ディーヴァー:今日の読書

リンカーン・ライム シリーズから派生したキャサリン・ダンス シリーズである。<人間嘘発見器>である。<心理学を応用して嘘の発見を科学の域にまで高めた>というキャサリン・ダンス。現実的に考えるとまず無理である。

リンカーン・ライムの<科学の域にまで高められた証拠捜査>も、どう考えても実用的ではないのだが、どちらもそれを屁理屈によって、<可能である>と強引にまとめるあたりは、<ありえない論理を科学的な屁理屈で現実であると思わせる>ハードSFの手法と同じである。

その辺が、他のミステリーより、一歩踏み込んでしまったところではないか。

『エンプティー・チェア』ジェフリー・ディーヴァー:今日の読書



『エンプティー・チェア』ジェフリー・ディーヴァー:今日の読書

めずらしくニューヨークを離れて、田舎が舞台。ノースカロライナ州というと南東部らしい。

アメリカのミステリー小説や映画には<南部もの>があって、濃厚な田舎の世界が出て来ておもしろいものだが、そのへんに挑んだのであろう。

『魔術師(イリュージョニスト)』ジェフリー・ディーヴァー:今日の読書



『魔術師(イリュージョニスト)』ジェフリー・ディーヴァー:今日の読書

読んだ本の感想が溜まったので、どんどん書く。ジェフリー・ディーヴァーをまとめて読んだ。非常におもしろい。しかし、ここまで、<どんでん返し>を連続させなくてもいい気もしてくる。

ジェフリー・ディーヴァーの<どんでん返し>のパターンがひとつ読めた。章の切れ目でやるやつだ。クリフハンガーの進化系だな。前の章で、犯人の罠にはまって今にも殺されそうな被害者が出てくる。次の章、実は捜査班が証拠を調べて先読みして、逆に罠にかけていた……というパターンだ。

これがいつも出てくる。良い手なので、ぜひ、パクリたいと思う。

『魔術師(イリュージョニスト)』に関しては、<なんにでも変装する奇術師>ということで、ちょっとルパンのような昔の大衆小説に、とうとう足を踏み出してしまった感じがある。<なんでもあり>がすぎるのではないか。たしかに、おもしろいんだけど。そういう、あやうさは感じた。

2018年10月22日月曜日

『ファインダーズ・キーパーズ』スティーヴン・キング:今日の読書


『ファインダーズ・キーパーズ』スティーヴン・キング。

スティーヴン・キングがこんな晩年になって、純粋なミステリーのフォーマットで書いたという作品。続いてるけど、珍品なのかもしれない。これがなかなかよくて、キングはホラーだとしつこくてくどすぎることも多いので、娯楽小説としてはちょうどいい。ホラーやSF作品との違いは超常現象が出てこないだけ、くらいだが。

今の主流のミステリーとの違いは、(1)テンポが悠長で2倍くらいの感触(2)最近のミステリーの主流はテンポを速くして次々とどんでん返しをする、つまりプロットで引っ張るというものだが、キングは人間の追い詰められた心理を執拗に書いて緊張感を出すという手法だ。そこはホラーの時と変わらない。ひと時代くらい古い感覚ではある。

2018年8月26日日曜日

素晴らしい政府官僚がいたらどうなるか?『隠蔽捜査』今野敏:今日のミステリー


『隠蔽捜査』今野敏。こっちはちょっと大衆小説寄りのテイストがある。しかし、出てくる人間たちが素晴らしく『この続きを見てみたい』という罠にかけられてしまう。

内容的には『素晴らしい政府官僚がいたらどうなるか?』という、かなりの飛び道具なもので、その興味だけで一冊最後まで緊張感を持続している。

で、この先、シリーズ化して続いていくのだが、もう官僚じゃなく、所轄の署長に立場が変わっている。本当は一冊で終わるつもりが、できが良すぎたので続けてしまったのではないか。キャラクターが良いのでしばらくは行けると思うが、内実はけっこう苦しいのではないか?


最高傑作のひとつ。『警官の血』佐々木譲:今日のミステリー


『警官の血』佐々木譲。

佐々木譲の超大作で最高傑作のひとつだと思う。三世代の警察官の人生が描かれている。一世代目の終戦直後の警察官の人生がけっこう牧歌的な部分があったのに対し、二世代目の学生運動世代の警察官の人生の殺伐さの対比が目を引く。

北大の左翼活動家の組織にスパイとして乗り込むのだが、生半端な緊張感ではない。これは怖い。これでは確かに被害妄想にとらわれて精神に異常をきたしてもおかしくはない。


2018年8月10日金曜日

『暴雪圏』佐々木譲:今日のミステリー


『暴雪圏』佐々木譲である。昨日ブログに書いた駐在が活躍する長編。大雪と嵐で交通が麻痺して、所轄署が動けず駐在が事件を追うという話。これもひじょうに良い。駐在が活躍する話はこれで終わりだろうか。続きはなさそうだ。

駐在を出すと、地元に密着した警察官ということでベタな人情ものに行きたくなる誘惑にかられると思うが、そこは断固をして拒否している。作家としての矜持がうかがえる。それは安易な道だからね。


2018年8月9日木曜日

『制服捜査』佐々木譲:今日のミステリー


『制服捜査』佐々木譲。

佐々木譲はたまたまブログを何年も読んでいた。なかなか気難しい人だな、と思ったりするのだが、ずっと見てたのだからなにかしら訴えるものがあったのだろう。

それで、ありがちな話だが小説は読んだことがなかったが、ある日、日本の現在のミステリーを読まなくては思い、佐々木譲ほかいろいろ買い占めてきた。

そうしてようやく読んでみたのだが、実に素晴らしいものだった。こんなすごい作家を単に気難しいおっさんと思ってブログを読んでたのか。今では尊敬して敬愛してる。

いちばん好きなのが『制服捜査』で、これは書くのが大変だと思う。北海道、日高あたりの駐在が主人公である。ミステリーを展開するにあたって問題は二点だ。

(1)田舎なので殺人事件なんか数十年に一度くらいしか起きないはず。

(2)そもそも駐在は殺人事件の捜査をしない。

たいへんだ。とても主人公と設定に魅力があるのだが、(1)はどうしたらいいかわからない。かなり苦しんで書いてるようだ。

(2)に関しては、大雪で所轄署が動けなくて駐在が捜査しなくてはならない、などと設定を考えて作っている。法律によると日本では、駐在も殺人事件を捜査してもかまわないそうだ。一般人が逮捕することもできるくらいだから。ただ現実的には、組織が良い顔をしないだろうし、やることはないだろうと思われる。

自分で書くなら、(1)駐在が事件に巻き込まれて捜査するしかなくなる巻き込まれ型か(2)駐在が犯人に恨まれて解決しないと自分が殺される、という設定にするかな。


2018年8月4日土曜日

『行きずりの街』志水辰夫:今日のミステリー


『行きずりの街』志水辰夫

かつて読んだミステリーの中の最高傑作。自分の中では一番だな。ミステリー作家としての総合的な一番は佐々木譲と思っている。しかし、作品単発としては、これが一番だ。中間小説出身でなんでも書く人らしく、純粋なミステリーはあまり書いてないらしいが。

良い点は2点。異常な人間の描写がうまい。この中では、主人公の男を『せんぱい』と呼ぶ敵の犯罪者が出てくるが、この男がエゴイストすぎて敵か味方かわからなくレベル。全体としては、もちろん敵なのだが、倫理がいっさい崩壊していて、自分の利益しか考えないので、味方にさえなってしまうという、すさまじさ。それとストーカーの女もやばい。

もう一点は、窮地に陥った主人公のやけくそぶり。もう作戦もなにもないが、やけくそになって行動してどうにかするというところに、熱く燃える魂を感じた。