人類狩り。ディーン・R. クーンツである。クーンツがモダンホラー作家になる前の最初期の作品。SFである。この頃の作品群は量産して書き飛ばしていたようで、クーンツがぜんぶ版権を買って出版できないようにしている。
その中での、今でも読める最初期の作品である。このへんから良くなった、という自負があるのだろう。それで読んでみるとこれがおもしろい。ふつうにおもしろい。クーンツはやはり初期から中期の方がずっといいようだ。
でも、最近も還暦を過ぎてまたちょっと復活してきたようだ。この間の期間がひどいのだな。
それで問題は、これはおもしろいSFなのだが、ハードSF的な視点がクーンツにはない。苦手なようだ。科学的な考察よりも人間のドラマや追いかけっこのスリルに重点が置かれている。それにSFだと、SF的な新しい視線による物の考え方自体が重要なテーマになるが、その部分もきれいにない。
なのでSFやらホラーやら冒険物などの要素を組み合わせて、モダンホラーの作家になったのは良い選択だったと思いながら読んだ。いいSFだが、この後、SF界の流れがハードSF主流になっていくので、このスタイルでは苦しかっただろうと思う。
内容(「BOOK」データベースより)
人類は星間戦争に敗北し、焦土と化した地球に爬虫類生命が侵攻した。ある日エイリアンの部隊長フランは、生き延びた地球人の子供と遭遇する。殺戮の掟にもかかわらず、彼は子供の命を救ってしまう。狩る者が狩られる者となり、ここに人間とエイリアンの望みなき逃走劇がはじまった。雪と闇の果てに待つものは?巨匠クーンツのヒューゴー賞候補作。
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