『行きずりの街』志水辰夫:今日のミステリー

2018年8月4日土曜日

読書

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『行きずりの街』志水辰夫

かつて読んだミステリーの中の最高傑作。自分の中では一番だな。ミステリー作家としての総合的な一番は佐々木譲と思っている。しかし、作品単発としては、これが一番だ。中間小説出身でなんでも書く人らしく、純粋なミステリーはあまり書いてないらしいが。

良い点は2点。異常な人間の描写がうまい。この中では、主人公の男を『せんぱい』と呼ぶ敵の犯罪者が出てくるが、この男がエゴイストすぎて敵か味方かわからなくレベル。全体としては、もちろん敵なのだが、倫理がいっさい崩壊していて、自分の利益しか考えないので、味方にさえなってしまうという、すさまじさ。それとストーカーの女もやばい。

もう一点は、窮地に陥った主人公のやけくそぶり。もう作戦もなにもないが、やけくそになって行動してどうにかするというところに、熱く燃える魂を感じた。



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