サラ・パレツキーの『ブラック・リスト』である。
サラ・パレツキーは非常に好きな作家だが、新刊を追って買ったりはしないので、ずいぶんとご無沙汰していた。いつの間にか新しいのが、たくさん出ていたようだ。今読むとどうなのだろうか。
こういう感じで20年ぶりくらいにサラ・パレツキーを読んだ。かなり心配だったが、前より良かった。だいたいどんなジャンルのクリエイターも、技術的には未熟でも結局、若い頃に作ったものが代表作になるものだが、小説家と落語家だけは晩年に熟成して成長する人がいる。
サラ・パレツキーもそのタイプのようで、若い頃より内容に深みがあって、娯楽的な部分も劣っていない。昔と違って、空手を使って倒すようなことはなくなったようだが。
作家と一緒に探偵も年をとるという選択をしたようで、今回近年の作品をまとめて読んだが、このへんで40代、終りの方では50代に差し掛かっている。これはこの先どうなるのか。70歳くらいになって引退してても、やはり、引きずり込まれて活躍するという展開になるのだろうか。
ダーティ・ハリーのシリーズが長いので、それのギャグで『ダーティ・ハリー80』とかで、爺さんになってもダーティ・ハリーがまだやってる、というのがあったが、そうなるのだろうか。サラ・パレツキーの力量なら、それもどうにか破綻しないでこなせるような気がする。
内容(「BOOK」データベースより)
ジャーナリストの恋人モレルがアフガニスタンの危険な取材へと旅立ち、ヴィクは不安を募らせていた。心配を打ち消そうと仕事に打ち込むヴィクは、無人の屋敷に出入りする不法侵入者の正体を突き止めてほしいとの依頼を受ける。ヴィクは張り込みを開始するが、発見したのは屋敷内の池に沈んでいた黒人男性の死体だった…9・11以後の混迷するアメリカを舞台にヴィクの活躍を描く英国推理作家協会賞最優秀長篇賞受賞作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
パレツキー,サラ
1947年、アイオワ州生まれ。1982年に女性探偵V・I・ウォーショースキー・シリーズ第1作『サマータイム・ブルース』でミステリ作家としてデビュー。スー・グラフトンと共に“女性私立探偵小説”の一大奔流を築くきっかけとなった。1995年の英国推理作家協会(CWA)賞シルヴァー・ダガー賞(『ダウンタウン・シスター』)、2002年の同賞ダイヤモンド・ダガー賞に続き、2004年には『ブラック・リスト』で同賞ゴールド・ダガー賞(最優秀長篇賞)を受賞。作家活動のほか、アンソロジー編集など幅広い分野で活躍している
山本/やよい
同志社大学文学部英文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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