今日のSF『地球から来た傭兵たち』ジェリー・パーネル。
これがなかなか出来が悪い。おもしろくないかといわれれば、まあ、それなりにおもしろいのだが、あまりよくない。内容的にはもっと盛り上がりそうな話なのだが、盛り上がらないまま終わってしまった。
問題は二点。(1)意外と話がへた(2)キャラクター描写がへた、ある。(2)は、たとえば途中で裏切る人間が出て来るのだが、その人間描写ができてないので、あれっという感じ。これは、意外な人間が裏切って驚くという手法ではなく、途中で効果の上がっていない複線もあったので単に表現し切れていないだけだと思う。
(1)は、女性キャラクターがなにか秘密を持っていてだまっているらしいのだが、そのネタで最後まで引っ張って、事態がどうにもならなくなってからようやく真実を語り出すという古い手法を使っていて、ハガートやコナン・ドイルの時代ならともかく、1980年代にこれはどうなのか。
なにか、秘密を持ってるなら、なぜ主人公はストレートに聞かないのか、女もなんでもったいぶって大事なことをだまってるのか、今だとそれはストーリーに魅力を与えると言うよりは、たんに登場人物がばかなのではないか、と思わせてしまう。
ジェリー・パーネルはラリー・ニーブンとよく組んで描いてるので、ラリー・ニーブンが突拍子もないアイデアを出して、ジェリー・パーネルがたくえつしたストーリーテリングでまとめてるのかと思ったが、そういうふりわけではなく、軍事面の描写がすごくうまいと言う人らしい。
確かに戦闘シーンだけはよく描けていた。 イラストレイテッドSFというシリーズの一冊らしく、絵がたくさん入っている。あとがきで内容にはふれず、 イラストレイテッドSFの背景とジェリー・パーネルの人柄ばかり語ってるのは笑ったが、それは先入観のせいかもしれない。
地球から来た傭兵たち (創元推理文庫 (671‐3)) 文庫 – 1984/8
ジェリー・パーネル (著), 大久保 康雄 (翻訳)ベア・メイホウ(イラスト)
登録情報
* 文庫: 396ページ
* 出版社: 東京創元社 (1984/08)
* ISBN-10: 4488671039
* ISBN-13: 978-4488671037
* 発売日: 1984/08
* 商品パッケージの寸法: 15 x 10.6 x 1.8 cm
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