昨日読んだ。『斜線都市』 グレッグ・ベアである。
現代SFの代表的な作家のひとりなのであるが、例によってものすごくおもしろいわけではなく、ほどよくおもしろいというできあがりである。ただ、一部のシーンはかなり良い。
6人くらいの視点で語られていて(三人称だが)、これはディザスターものなどの超大作ではよく使われる手法で、いろいろな人々の行動と思惑が、小さな川の流れが合流して大河になるように盛り上がる……はずなのだが、もしかして、グレッグ・ベアはあまり小説自体がうまくないのではないか。ひとつのシーケンスで盛り上がって来たなと思ったら、別の人物に戻ってこちらはいっこうに興味を持てず、という調子で盛り上がりそうで盛り上がらないまま最後まで行く。
しかし、悪と善という2分割で人物を切り分けていない、もしくは、その部分に興味がないあたりが、昔の作家と違う現代的な部分なのだと思う。
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斜線都市(ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 2000/6/1
グレッグ ベア (著), Greg Bear (原著), 冬川 亘 (翻訳)
ナノテクとセラピーが実現した人類の疑似ユートピアは早くも崩壊の兆しを見せていた。受療前の不安定状態に逆行する“退行患者”が続出、自殺者数も急増を始めたのだ。そのような状況下で、バーチャルな性的産業を牛耳る大資本家が不審な死をとげた。公安局の捜査線上にはやがて、死体と半死者を冷凍保存する巨大な霊廟オムパロスと、その運営にあたる謎の集団アリストス会の暗躍が判明するが、はたしてその真の目的は。
Greg Bear sold his first short story, at the age of fifteen, to Robert Lowndes's Famous Science Fiction. Since then, he has written some twenty novels. A winner of the Hugo and Nebula Awards, Bear is married to Astrid Anderson, and they, and their two children, live near Seattle, Washington.
# 文庫: 422ページ
# 出版社: 早川書房 (2000/06)
# ISBN-10: 4150113114
# ISBN-13: 978-4150113117
# 発売日: 2000/06
# 商品パッケージの寸法: 15.4 x 11 x 1.8 cm