『二流小説家』デイヴィッド・ゴードン
「このミステリーがすごい! 」「ミステリが読みたい! 」「週刊文春ミステリーベスト10」で当時ぜんぶ1位を取るという絶賛の作品。しかし悪いとは言わないがそれほどのものか。すごい大きな仕掛けがしてあって、『事実と思って読者が読んでいる部分』と『登場人物である小説家が書いているフィクションの部分』と『さらに本物の作者が体験した事実の部分』が巧みに入り混じっていて、そういうどんでん返しがすごい……ということらしいが、実際、たいしたエピソードがあるわけではないので、『どっちでもいいじゃないか』という感想。悪くは無いんだけど。
ただいくつかうまい部分もある。
『これはちゃんとしたミステリー小説にしては、キャラクターが安っぽくて漫画的だな』という章があって、それはつまり『この章は二流小説家が書いた部分なので、安っぽい小説になっている』という事なのだと思う。
わざと小説をへたに書くとはなかなかよく考えている。でも面白いけど、その行為が特に意味があるわけではないんだな。どんでん返しのためのどんでん返しの仕掛けにしかなっていない。