『記憶なき殺人』ロバート・クラーク:今日の読書
これがなかなかひどい話。ひどいというのはできではなく話が。アスペルガーの人が犯人にされて何十年も刑務所に入れられる。純朴な心を持っていて、大量の文章を書いて一生をすごす。
だいたいの小説なら、その才能を認められて……という展開になりそうだが、どうもただの駄文なようで作中で才能を褒める人は現れず、世間的にもまったく認められず、冤罪のまま刑期を終えて出て来て、ふつうに年をとって無名のまま死ぬ。
刑事の方も途中であきらめて個人的な悩みに終始して、なんの解決もしないという。
しかし、それだけ読んでからいろいろと考えさせるのだから、かなりの力量の作品である。
苦い話。