『ファインダーズ・キーパーズ』スティーヴン・キング。
スティーヴン・キングがこんな晩年になって、純粋なミステリーのフォーマットで書いたという作品。続いてるけど、珍品なのかもしれない。これがなかなかよくて、キングはホラーだとしつこくてくどすぎることも多いので、娯楽小説としてはちょうどいい。ホラーやSF作品との違いは超常現象が出てこないだけ、くらいだが。
今の主流のミステリーとの違いは、(1)テンポが悠長で2倍くらいの感触(2)最近のミステリーの主流はテンポを速くして次々とどんでん返しをする、つまりプロットで引っ張るというものだが、キングは人間の追い詰められた心理を執拗に書いて緊張感を出すという手法だ。そこはホラーの時と変わらない。ひと時代くらい古い感覚ではある。