『ゲイトウエイ』フレデリック・ポール|今日のSF

2017年12月28日木曜日

読書

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 『ゲイトウエイ』フレデリック・ポールである。ゲイトウエイのシリーズをまとめて全部読んでみた。ひじょうにおもしろい。キャラクターが良いのと、あと、思った通りのところに話が進んでいかない、というのがある。解説を見ると、編集者としても優秀な人のようで、ストーリー展開というものを知り尽くしているので、かならずその裏をかく展開をする人のようだ。

それはそれで良いのだが、たまにはそのまま王道の展開で、カタルシスを満足させてもいいのではないか、という場面も多々ある。1巻はおもにヒーチー星で出発する勇気が持てなくてずっとぐちぐちしている話。

あと、うまいなと思うのと同時にずるいなと思うのが、たぶん主人公が彼女と仲間たちを犠牲にして自分だけブラックホールから脱出したという、シリーズ全体を通して後ろめたく思ってる中心となる出来事があるのだが、これをとっさの出来事だったので何があったのかよく覚えていないと、濁して書いている。

ここにくると急に歯切れが悪くなるので、初稿の段階ではちゃんと『彼女を犠牲にしたことを悔やんで生きている』という話だったのではないか。ただそれではエンターティメントの世界では、主人公の行動の倫理として限界を越えて、思い入れがしにくくなるキャラクターになるので、長年の編集者としての勘が働いて、肝心な部分はあいまいにしたのではないか、という邪推をしている。

現実の世界ではしかたがないという話でも、娯楽作品としてはテーマが重くなりすぎて、他のエンターテイメントな部分と釣り合いがとれなくなる、という計算だったんじゃないかな。


ゲイトウエイ (ハヤカワ文庫SF) 文庫 – 1988/5/1
フレデリック・ポール (著),‎ 矢野 徹 (著)

内容(「BOOK」データベースより)

金星付近の小惑星で発見された千隻あまりの宇宙船―それは、謎のヒーチー人が残した超光速船だった。この船を使えば、人類の念願の恒星への飛行が可能となる。だが、操縦方法は皆目わからなかった。目的地も、要する時間も、エネルギーの残存量もわからぬ状態で飛び立つしかない。行手に待つものは死か、それとも、富を約束する未知の惑星か…。かくて、一攫千金を夢見る冒険家たちによって、スター・ラッシュが始まった!SF界の重鎮が、斬新な手法と躍動感あふれるストーリイ展開とで描き、全米の読者から熱狂的にむかえられた、ヒューゴー賞、ネビュラ賞受賞作。

文庫: 467ページ
出版社: 早川書房 (1988/5/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150107696
ISBN-13: 978-4150107697
発売日: 1988/5/1




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Tokyo, Japan
漫画家、自宅録音家。 代表作「怪奇カエル姫」「37564学園」。 2001年、いぬん堂からCD「アントニオ青年のエイリアンセックス体験」発売。 2013年、アメリカのMonofonus Pressからカセットテープ「Attack of the Killer Hamster」発売。

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